こんにちは久しぶりの海外ドラマレビューです。今回はドラマ『ジ・オファー ゴッドファーザーに賭けた男』(全10話)。
『ジ・オファー ゴッドファーザーに賭けた男』は、そのタイトルからもわかるように、フランシス・フォード・コッポラ監督の「ゴッドファーザー」という映画の製作過程に焦点を当てたドラマで、映画業界での成功を夢見る若き映画プロデューサーのラディを中心に、当時ベストセラーとなったマリオ・プーゾの小説の映画化プロジェクトを巡る葛藤と困難の物語を描いています。

映画「ゴッドファーザー」とは

家族の愛と絆、義理と人情、忠誠と裏切り、金と権力などが交錯するなかで揺れ動く人生の機微や人間社会の模様をイタリア系移民の裏社会を通して描き出した、一大叙事詩の第1章である。
20世紀半ばにおけるアメリカの移民社会やマフィア暗躍時代の実態をギリシア悲劇やシェイクスピアやドストエフスキーにも通ずる格調高い年代記としてまとめ上げられた脚本に、19世紀の豪華なオペラ様式や黒澤明の影響を示唆させる複数の対照的要素が連続的および並列的に配置されたダイナミックな物語の構図、イタリア系を中心とした個性的な俳優陣によるリアルで重厚な演技、忠実に再現された戦後間もないアメリカやシチリアの雰囲気を秀逸なカメラワークと郷愁的色調やフィルム・ノワールならびにドイツ表現主義的陰影に満ちた照明で捉えた芳醇な映像美に、ニーノ・ロータによる叙情的な旋律の劇伴など、その画期的な作風で新たな映画芸術を確立した。
(Wikipediaより)

そう、マフィア映画の金字塔だけではなく、映画史に残る傑作と言える作品。

 

舞台となる70年代のLAとNYの魅力

このドラマは、パラマウントスタジオがあるLA(ハリウッド)とNYが主な舞台。当時の雰囲気をCGや衣裳、小物等で細かく再現しているところが魅力的でもあります。映画製作はまだアナログで、スタジオの権力が強い時代。その中で、ゴッドファーザーのような巨大なプロジェクトが生まれることは、非常に困難でした。しかし、この時代ならではの熱気や創造性が、この物語に一層の深みを与えていると感じました。

撮影を困難にさせた5つのオファー

  1. 原作と脚本: 最初のオファーは原作と脚本の問題です。マリオ・プーゾの小説は、その複雑なプロットとキャラクター設定で有名でしたが、一般的な娯楽要素が少ないため、それを映画化することは容易ではなく、スタジオ側は原作者の脚本担当をNGとし、プロデューサーのラディは原作の魅力を損なわずに、映画の脚本を誰が書くかで悩むことに。
  2. キャスティング: 二番目のオファーはキャスティングに関するものでした。特に、マフィアのボスであるドン・コルレオーネ役とその後ファミリーを継ぐ息子マイケル役を誰が演じるかが重要でした。数々の有名俳優が候補に挙がりましたが、制作チームはマーロン・ブランドとアル・パチーノを推すが、ブランドは気難しい性格というレッテルとパチーノはまだ無名の舞台役者であったため、スタジオ側がなかなか首を縦に振らず、なんとか制作チームの意向を叶えたいラディは奮闘します。(このキャスティング部分はかなり見どころ)
  3. マフィア: マフィアとの関わり合いは、映画制作にとって大きなオファーでした。マフィアの世界を映画で表現するには複雑で危険なため、その描写には注意が必要でした。実際のマフィアからかなりの圧力があり、製作は難航します。このあたりはマフィア映画の製作と実際のマフィアとの関りの対比がとても面白かったです。
  4. 会社の上層部: さらに、会社の上層部からのオファーもありました。彼らはこのプロジェクトに多額の予算を投じることに不安を感じており、何度も映画の方向性に関して干渉してきました。作品は芸術性より娯楽性、キャスティングは人を集められるネームバリューのある役者を….マフィア同様、ラディの頭を悩ます種です。
  5. 予算: 最後に、予算の問題も大きなオファーでした。この大作を完成させるには莫大な資金が必要であり、その調達に苦労しました。予算の制約の中で、クオリティを維持することは容易なことではなく、この辺はプロデューサーの腕の見せ所といった感じです。

 

 

最後に『ジ・オファー ゴッドファーザーに賭けた男』は、単なる映画の製作過程を描いたドラマではなく、情熱と固い意志が交錯する物語です。ゴッドファーザーという作品が生まれるまでの道のりは、多くの困難に満ちていて、それらの困難を乗り越えた先に、歴史に残る永遠の名作が待っていました。このドラマは、映画製作の舞台裏に光を当てながら、人々に夢と希望を与える熱く素晴らしいドラマです。
コッポラやプーゾ、ブランドやパチーノ、キートン、シナトラといった当時の関係者を演じる役者陣も見どころの一つで、とくにパチーノの神経質な感じや仕草は見事でした。ブランド宅でのオーディション風景もグッとくるので、ゴッドファーザーファンにはお勧めのドラマ間違いなし!